財布やカバンを探ると、ポイントカード作戦にまんまと乗せられている自分に気づく。
 僕が所持しているポイントカードをテーブルに広げてみる。カードの発行主は、家電量販店(キムラヤ、T−ZONE、ヨドバシ、ヤマダ、上

 
 
 

新)、ユニクロ、ジョナサン、夢庵、コーヒー豆店、理髪店、居酒屋、とんかつ屋、クリーニング店だ。ざっと14枚もある。家に帰れば、もっとあるに違いない。
 クレジットカードにもポイントがある。僕は何枚かクレジットカードを所持しているが、頻繁に使用するカードは決まってA社のカードである。理由はもちろん、どうせカードで支払うならポイントが貯まっているA社のカードを使いたくなるからだ。
 みんなは、とっくに気づいていると思うけど、ポイントと景品は、馬の鼻先にぶら下げた人参みたいなものだ。人が欲しがる景品の交換ポイントは高めに設定されていて、僕のように貪欲な人間は、高ポイントの景品をゲットすべく「もう暫く貯めてみるか」と考える。しばらくすると、ポイント交換時期を過ぎているのに気づかず、せっかく貯めたポイントが半減してしまっている。ずっとこの繰り返しなのだ。
 思うに景品を出す方だってちゃんと算盤をはじいているはずで、景品に設定されたポイントは、見事なバランスの上に成り立っている。辞書の中にも「消費性向」という言葉がある。ある一定期間の所得に対する消費の割合のことだ。カード利用者の平均年収から消費性向を算出して、カードの平均利用率に基づいた獲得ポイントを算出すれば、カードの利用率を上げるためにポイントを操作することは容易だ。
さりとて、分かっちゃいるけどやめられないのがポイントカードの魔力である。

 

 近所の商店街では、台紙に貼って集める昔ながらのシールも未だに流行っている。なぜならこのシールは、地元の銀行で現金化できるからだ。かくいう僕が集めたシールはもう数千円分に達している。すごいのは、我がロビンソンのK・T女史だ。彼女は某百貨店カードで数千ポイントも貯めている。これは数百万円もの買い物をした証拠。このポイントで数万円分の買い物ができるはずだ。
 今、僕が気に入っているのは居酒屋「風神亭」のポイントカード。カードといっても店の名刺の裏にハンコを押してくれるという、いたってシンプルなシステムで、ハンコが10個たまると店主とジャンケンする権利を得る。客が勝つと1000円引き、負ければ何も無しの一発勝負だ。僕はすでにこの権利を獲得しているけど、権利の行使には至っていない。店主の「じゃん・けーん・ぽん!」の掛け声がでっかくて、客の視線を一斉に浴びてしまう。恥ずかしくて、ついつい及び腰になってしまうのである。(隆)。